我々の学年が、最も長い付き合いとなったのが田中徹太郎先生だろう。中学からの者は 5年間、高校からは 3年間、田中先生にはお世話になった。
明治高校 OBゆえの学校愛と、男子校ゆえの “Hな話”から多くを学んだ我々が、今再び人生後半の教えを請うと、そこには大きなグランドデザインを描いた地図が用意されていた。
熱いハートと力強い生命力があった
まだ私も若かった時代で、若気の至りも多かった。思わずカッとなると、皆さんも負けじと対抗してきた。本気でぶつかった記憶もあります。
男子校ならではの、生意気さと気骨さがあり、気概にあふれていた時代だった、そんな想い出です。
今とは生徒の家庭層が違っていて、商売されている家庭が多かった。私立なので比較的裕福に育ったのだと思いますが、「ボンボン」というのとは違い、お金を派手に使ったり、わがままを言ったりするようなことはなかった。きっと親の苦労を見てきていたのでしょう。
だからかもしれません。仲間を助ける、いい気風があった。陰湿なイジメも少なく、生徒同士でよく助け合っていた。友人を大切にしているのが傍から見て微笑ましかった。
熱いハートと力強い生命力があふれていて、地に足が付いていた気がします。
この国の方向の先鞭を付けるべし!
皆さんは、社会の中核で活躍しているのはもちろん、組織を下支えしているポジションにいる人も多いでしょう。だからこそ、この国の30年後について考えて欲しいと思います。
今、この国で最も大きな課題は高齢化です。皆さんが、引退しているだろう 30年後くらいには高齢化率が 35%を超えるというデータもあります。
大きく需要が減ったそのとき、不足分を海外に出て求めるのか、深化させて国内需要を掘り起こすのか、それぞれの選択があるでしょう。その方向性を、今皆さんの世代が示すときです。ビジネスチャンスを作り、後輩を育てるための布石を、今打っていって欲しいです。
個々の環境や社会的なポストは別問題です。各々の人生の中で方向性を示し、その足場を築きあげてください。
この国は今、衰退する可能性があります。そうならないように、先鞭を付けるのが皆さんの世代の役目です。
27年前の訓示(卒業アルバムより)
タフであれ。